私は去年あたりから、神社巡りをすることが好きになった。
もちろん神様を詣でる意味から出発したが、今は参詣とともにまた建物を見るのがとても楽しい。その中でも特に好きなのが、欄間彫刻を見ることだ。欄間とは、建物のはりの上にある透かし彫りのことで寺社仏閣にはたいていあると思う。日本間のお座敷にもよくあるあれだ。写真には収めていないが、もっとも感動したのが、南房総にあった鴨川周辺の神社にあった彫刻である。神社の名前を調べようとしたが、石碑は草書体でなんと書いてあるのか読めなかったのが残念だった。
家に帰って調べてみたら、どうやらそのあたりの欄間彫刻で有名なのは「波の伊八」という人だった。
私の見た欄間彫刻は龍と波の模様が入っていて、その立体感はとても彫り物とは思えないほどすごかった。このオブジェから発せられるオーラからすると、この人の作品である可能性がある。絵でも彫刻でも至高品は生き物のような気を感じることがある。この欄間彫刻にもそれを感じた。この領域になるとカメラのファインダーに収めるのは気持ちの面からできなくなってくる。だからその光景を目に焼き付けていつも帰ってくる。
彫り物もハイエンドの領域に入ってくると、彫って作ったはずなのに、どの方向からノミを入れたのか想像できないほど複雑な造形をしている。これほどのすごい彫刻が、参道の雪が手付かずに凍るような神社にたたずんでいるという状態が私には驚きだった。これまでにも有名な神社の欄間彫刻も見てきたが、この名前の分からない神社のそれがもっとも美しかった。地方を旅する幸せがこういう発見にあるのだろう。また今度のゴールデンウィークもまだ見ぬ素晴らしい寺院建築を求めツーリングに行ってみようかと思う。南房総はいたるところに神社があります。またコーナーのグリップも交通量の割りに良いので、トルクバンドをキープしながら気持ちよく流せます。神社好きのバイク乗りにはたまりませんね。ただ温泉が少ないのが残念。これで温泉もあれば完璧です。